映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム

 

2015 英 仏

 

アードマンスタジオが送るクレイアニメシリーズの劇場版。

 

ウォレスとグルミット」のスピンオフシリーズである「ひつじのショーン」。

 

自分はイタズラ好きで奔放なショーンよりも

健気なグルミットが主役のシリーズが好みだったため、

劇場版がどうなのか若干の不安もあった。

 

しかしそこはいいように裏切られたようで大好評らしい。

 

これは見てみようかな、と。

 

なるほど序盤からセンチメンタルな手法で攻めてきて、

ちょっと身勝手なショーンらしさから一大騒動に。

のんきな羊たちに街の厳しさを味合わせつつギャグも満載。

伏線もすべて回収、テンポもよし、密かに考えさせられる要素もあり。

 

なるほどこれは完成度の高い作品と納得。

グルミットの長編作品より出来が良さそうですね。

 

2015ベスト作品と言っても過言ではないのではないか。

老若男女誰もが穏やかな気持ちになって楽しめる傑作。

 

観終わってすぐ、今からまた見てもいいなと思う映画は珍しい。

 

チャップリンの黄金狂時代とか

バック・トゥ・ザ・フューチャーへのオマージュもあるのかな?

 

最後は、そこで証拠隠滅なのか!

意外な繊細さで笑えた。

 

ファニーとアレクサンデル

1983 独 仏 スウェーデン

 

ベルイマンが遺作として撮った長編作品。

自伝的要素も含むらしいが、5時間を超えるためこれまで躊躇してきた。

 

一応ファニーとアレクサンデルという兄妹が題名になってはいるものの、

彼らが直接見聞きしないシーンも多く、ファニーの登場シーンはさらに少ない。

 

なお、アレクサンデルは感受性豊かな少年で、幽霊を見ることができる。

 

1907年のクリスマス。

エクダール家では一族が集まり盛大なお祝いが行われようとしていた。

一家の女主人、その息子と嫁、孫たち。営む劇場の俳優たち。メイドたち。

 

華やかな上流階級の宴が描かれ、

その後は息子と嫁の関係など色恋沙汰の人間模様。

こういうタッチで続いていくのかな、と思わされる。

 

ところが次章では長男が急死。

その若い妻は取り乱し、夫から引き継いだ劇場の運営もうまくいかず、

相談に乗ってくれた主教と結婚してしまう。

 

続いて、実は悪魔の化身ともいえるこの主教の本性が暴かれる。

 

くだらない規律を重視する、というよりも

弱者を屈服させ、支配下に置くことだけが生きがいのような

狂気に満ちた主教。

その忠実なしもべの妹、抵抗がありながらも傍観する母親。

可愛らしい少年だが意志の強いアレクサンデルはこの魔の主教館で

地獄を味わうことになり、若い母親も似たようなものとなるが、

狡猾な主教に対しなかなか離婚できず脱出できないのだった。

 

この絶望はいつまで続くのか、神はいないのか、

むしろ邪な者の味方なのか、という展開から

意外な成り行きで彼らは地獄から生還する。

 

エクダール家では再びお祝いが開かれるのであった。

そこには新たな命があり、新たな門出もある。

 

おしまい。

 

序盤もなかなか悪くないのだが登場人物が多いので把握に少し手間取った。

かつ妻に八つ当たりしていたぶる(というか甘えているようなもの)

次男のやりとりなど、少し眠かった。

 

その後はシリアスな展開となって行き、

宗教とは、それを薄汚く利用する者の存在、

弱さを突かれ、ある意味洗脳されてしまう女のもろさ、

神の存在とは、嘘をつくことの罪とは、

など色々なことを考えさせられはするのだが、

とにかく主教役の俳優の名演が恐ろしい。

 

かなり長い映画ではあるけれど、

かわいい兄妹はじめ登場人物も個性と魅力があるし、

世界観もなかなか。

 

見てみる価値は十分あると思います。

 

 

しかし下のサムネイルはもっとほのぼのした

兄妹の触れ合いシーンかと思っていたところ、実際は・・・

 

 

キングスマン

2015 英

 

秘密のスパイ組織キングスマン

 

ロンドンの高級紳士服店を拠点に

世界各地で活躍するエージェントの一人

ハリー(コリン=ファース)に見込まれたエグジーは選抜試験を受けることに。

 

その最中にも世界を揺るがす陰謀がめぐらされており・・・

 

 

知らなかったけど「キック・アス」のスタッフだったんだな。

 

コリン=ファースの演技力でハリーのキャラが立っていて

それをみているだけでなかなか楽しい。

 

テイストは英国的ウィットに富んでいて、かつ派手なスパイアクションあり、

ちょっとグロい描写もあり、秘密兵器も登場し、ミッションも結構連発され

色々な人が楽しめるようになっている。

 

強いて言えばボンドガール的お色気だけはないが。(ごく一部を除いて)

 

評判がいいのも納得の一本だった。

ちょっとシニカルな感じが嫌いでなければ娯楽作としてお勧め。

ちはやふる 下の句

2016 日

 

公開中作品につき、ネタバレ有です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分割商法的?と思わなくもないが、

原作は長く続いており詰め込みすぎず良策を作るにはこのほうが良心的かも。

 

後編になるといよいよ全国大会だが

なぜか千早は部よりも新ばかりを気にしており、

それに関連する個人戦にしか興味がない。

 

そんな空回りの千早と部員はぎくしゃくし、勝手に出稽古にいった先

(都大会決勝で破った相手)でも千早はぼろぼろ。

 

バカにしに来たのかと遂にブチ切れたドSさんに

全国大会対策の極秘資料を託され目が覚める千早。

 

このシーンは泣けた。

まるで感情移入できない千早はどうでもいいが、

王者・大本命と呼ばれ、しかし敗れた彼ら。

 

本当に屈辱で悔しいが、

せめて負けた相手にはうちを破った代表として

恥ずかしくないところまで行ってほしい。

そうじゃないとさらに惨めになる。

それがこの体たらく・・・

 

多少違うものの似たような経験があるため非常にツボで、

下の句のハイライトと言っていいシーンだった。

 

しかしいざ本番の全国大会は消化不良。

千早が寝てる間に大会は終了し詳しい描写はなし。

 

クイーンもなかなか魅力的なキャラで松岡さんの演技も悪くないが、

メインは個人戦なんですね。もっと団体戦を見たかった。

 

続編を作るらしいが予告によれば話は進んでクイーン戦なんだろうか。

もう部活の描写は減っていくのかなと思うと残念ではある。