花とアリス
2004 日
岩井俊二監督と言えばはるか昔、
山田洋次監督の「学校」を見ようという
友人を説得して観た「スワロウテイル」以来。
独自の世界観ながら当時はよくわからず、
主題歌だけが耳に残る作品となった。
本作はどうやら青春ムービーらしい。
ということで主演の二人の魅力が存分に発揮されている。
写真が趣味の友人に撮られる二人。制服で踊る蒼井優。
このあたりは青春の輝きでありとても美しい。
正直監督ちょっとずるいなというか、見とれざるを得ないな、
というシーンとなっている。
おそらく花とアリスだとアリス派の方が多いと思うのだが
気まぐれ猫のようなアリスより、個人的には花の頑張り、ひたむきさが良かった。
女優の好みでは清純派の蒼井優(プライベートはともかく)なのだけど、
あれで三角関係になるのもちょっと納得いかないし、
家族との葛藤とか美味しいところ持っていきすぎだし、
挙句の果てに最大の見せ場の落語シーンはカット。花かわいそう。
是非見せて欲しかった。
独裁者と小さな孫
2014 グルジア=仏=英=独
モフセン・マフマルバフ監督の久々の作品。
「パンと植木鉢」しか見ていないが、イランの巨匠です。
とある国の大統領府で孫と戯れる大統領。
「この窓から見える明かりを電話一本ですべて消せる」
目を輝かせ、無邪気に遊ぶ孫だったが・・・
空港で引き返したのは孫のためというより
自分の築いた体制はおそらくまだ大丈夫だと油断したのだろう。
しかし結局最側近を除いて全てに裏切られてしまうというところに
武田家滅亡時のような人間心理を感じた。
そして逃亡劇に移り、巧みな手管で生き延びる大統領に対し、
世間知らずの少年はどこまでいっても純粋なまま。
仕方がないよねと思いつつも結構イライラする(笑)
いい加減少しは状況を理解してもよさそうなものだが、
まああくまで無知なままの方が演出的に良いとは思う。
逃亡時の様々なエピソードにより
独裁者を殺せばすべて解決ではない、という強いメッセージが伝わってくる。
現状のイラク・リビアなども果たして独裁時と比べ改善されているのか・・・
結末を見せないのはぜひ考えて欲しいというメッセージだろう。
寓話風の演出でこれだけストレートな社会派映画を作る手腕はさすが。
オデッセイ
2015 米
近未来。
火星を探査していたチームは嵐に見舞われ、母船に撤退。
事故で死んだと思われたマーク(マット=デイモン)は一人火星に取り残され、
生き延びる道を探ることになる。
次の探査隊が来るのは4年後。
食料は1年分、1か月の使用を予定していた
簡易居住ユニットが壊れたら終わり。
一方地上では偶然彼の生存が確認され、
可能性が高いとは言えないものの、
救出のための手立てが取られようとしていた。
さあマークは生きて地球に戻れるのか・・・
さて、少し前に話題となった本作ですが
2時間半近くあるものの飽きることなく見られました。
リアルさで話題となったらしい原作は未読なので
読んでいればもっと満喫できるのかも。
デイモンが結構明るくコミカルタッチでもあるのと、
地球での救出ミッションが結構挟まるので
「ゼロ・グラビティ」よりは悲壮感薄れてるかな。
船長が美人。なるほどグラビティにも出ていた、あの娘。(の大人版)
個人的な感想としては、植物を育てたくなる作品。