君の名は。
2016 日
だいぶ更新空いてしまった。
映画見なさすぎなのでもうちょっとなんとかしたいところ。
言わずと知れた大ヒット作を今更。
あらすじは都会と高山の高校生の話、
という以外全く知らなかったけれど、
なんとなく恋愛要素の強い作品?というイメージはあった。
もうネタバレは気にしなくてもいいですかね?
でも一応。
前半は入れ替わりの日常がコミカルに進んで行き、
「さすがに無理があるでしょ」とは思いつつ、
ファンタジーだからと割り切ればとても楽しい。
男だけであんな高いパンケーキもありえないが、まあファンタジーだから。
(つけ麺(大)の全部のせ、とかならわかるよ。)
後半は無理があるのは変わらず。
ついに彼女に会いに行くことにした主人公(男)。
だが、その結果は・・・
ところがなぜか無理やりな展開で再び入れ替わり、初の対面、
過程すっ飛ばしの避難成功、と進んで行った。
爆破シーンなどもありながらも、
名前連呼部で個人的に盛り上がらないからか、
前半と比べるとやや尻すぼみな印象でエンドロール。
まあ展開は最後まで無理だらけなんですが、わかっていながらも
しらけず見させてしまうエモーショナルな力がある作品だった。
で、それが大衆にヒットしたということですね。
二人はいつ会うのか、会って欲しい!と思ってしまう。
三葉は故郷を失った被災者であるわけだが、奇しくもそのおかげで
土地の呪縛から抜け出し、二人は再会できた面もあるはず。
二人の障害にしたり、災害の使い方を道具として割り切っていますね。
新海監督は名前と作品のいくつかは知っていたものの
手を出すまでに至らず、見たことはなかった。
古参ファンの方々の、「これまでの作品の集大成」というコメントなどにより
過去作がどういう作品群だったのかある程度の理解はできた気がする。
万一つまらなかったらどうしよう、
という心配は杞憂でなかなか楽しめました。
主題歌が一般受けしそうな王道で好みなのもあるかも。
以前軽く聞いてとりあえず放置していたRADWIMPS、
アルバム借りてしまった。
アバウト・シュミット
2002 米
保険会社で定年を迎えたシュミット。(ジャック・ニコルソン)
手持ち無沙汰なので会社に行って後任者に経験を伝えてやろうとするも、
あっさり「用はなし」と対応される。
42年連れ添った妻は最近やることなすことイライラの対象でしかない。
(相手から見てもそうなのかもしれないが・・)
娘が近々結婚する相手は、どうも気に食わない、いい加減な奴で我慢ならない。
そんな中、孤独感に耐え切れず、TVCMの月22ドルプロジェクトを介し、
アフリカの少年を支援することにするシュミット。
そんな状況で妻が急死。
棺を安物で済ませたり、霊きゅう車?を使わなかったりと節約する彼だが、
家事面はどうしようもなく、娘にトーストの焼き方までうるさく指示して
待っているあの姿、やられたらうざいだろうなぁ。
お互い理解していたとはいいがたい妻だったが、
その後、家事もできずより孤独感が募る中で、妻を恋しく思うシュミット。
ところが遺品整理の際、過去に送られた妻あてのラブレターが見つかり、
唯一のつながりとも言える親友との絆も切れてしまう。
ふっきれたシュミットはその妻が残したキャンピングカーで
娘の結婚式まで、あてどのない旅をするのだった。
珍しく延々あらすじを書いてしまったが、
まあ本当によくありそうな、定年後の男の姿なんですね。
充実感が持てる趣味なり何かを見つけておくことがいかに大切か、実感できました。
救いはほぼないのでシュミット的な心当たりがある方は早めに見ておかないと、
打ちひしがれるだけかもしれません。
定年後やることがない人が見るのはNGといえる映画。珍しい。
ありがとう、トニ・エルドマン
2016 独
ふざけるのが好きなヴィンフリートは、
今日も配達員をからかって楽しんでいた。
しかし、老いた母親と犬は、どちらも具合が悪そう。
久々にルーマニアから帰って来た娘は、電話で席を外してばかり。
人生、なかなか楽しめないこともあるもんだ。
その後、老犬の死をきっかけにルーマニアへと旅立ったヴィンフリート。
仕事人間の娘が気になり、
自らの悪ふざけ好きもあってちょっかいを出すも、
休日も仕事がらみで忙しい娘には基本的に相手にしてもらえず、
気をつかってあっさり帰国。
と思いきや・・・
迷惑なちょっかいを出され続けたはずが、
心になんとなくゆとりができる、そういう存在がいることの大切さ。
もっと言えば、そういう存在を受け入れられない状況の危なさ、
というほうがいいのかも。
国際企業がルーマニアで資源搾取をしている現実、
その片棒、というか汚れ役を担わされる娘の仕事、
そうした搾取側の一員として、
知らず知らず、客として尊大な態度を取るのが
普通になってしまっている娘。
などさりげないながら舞台背景として描かれている点は
どれほどのテーマなのかはわからず、
おそらく娘の転職にもあまり影響していない様子。
なかなか異色の映画でした。
マンチェスター・バイ・ザ・シー
2016 米
アカデミー主演男優賞・脚本賞受賞作。
ボストンで便利屋を営むリー(ケイシー・アフレック)。
淡々と暮らし、時折パブで暴れる以外に感情の発露はない。
(口汚いのは昔から。)
そんな彼の下に兄の危篤を告げる連絡が。
故郷の街「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
(そういう町の名前なんですね。凄い付け方)
に向かうリー。
兄の今際には間に合わず、
待っていたのは16歳の甥パトリックの後見人という大役だった。
冒頭から時折挿入される過去の映像。
やや軽薄ではあるが、明るく、パトリックとも親密だったリー。
それがどうして豹変してしまったのか。
その理由は作中で明かされるが、
彼の深い悲しみがしんしんと伝わってくる名作である。
結局その原因に関しては何一つ癒されることはないのであるが、
甥との交流により、僅かながらも人間性を持つことができるようになり、
映画は終わる。
マイナス点とすれば音楽の使い方が「これでもか」という印象であり、
このテーマの作品なら音楽も控えめで良かったと思う。
パトリックはやたらと奔放な生活を送っており共感できないが、
以前のリーがお調子者であったことを考えれば頷ける性格ではある。
船にこだわるあたりも幸せな思い出を忘れていないようで、なかなかいい。
体の弱い中、自分亡きあとの息子・弟のため、色々準備しておく兄。
地味にここに結構共感した。直接描写はあまりないのだけれど。
最後の結論には納得いかないところもあるが、
長尺にもかかわらず「もう終わってしまうのか」と思わされた貴重な作品。
楽しい作品ではないけれど、おススメ。