ムーンライト

2016 米

アカデミー賞受賞作。

 

不幸な生い立ちの黒人少年の物語、というのは知っていたので、

何かヒューマンドラマ的な救済があるのかと勝手に思っていた。

 

ところが、それらしきものがあるのは序盤だけ。

細いよすがの糸(一条の光)も切れ、何もなくなった主人公は、

そのあとは運命に抗えないがごとく辿りつくところに辿りついてしまう。

 

そしてラストの再会。

 

観客に沈思させるような物語ではあるのだが、

期待していたようなものとは違った作品だったな、というのが率直な感想。

悪くはないんですけどね。意外にも恋愛要素が強い。

 

主人公の心の奥を表すような眼差しが各世代印象的。

この世界の片隅に

2016 日

 

最近映画をおろそかにしていてどうかと思いますが、

ぼちぼちと更新していきます。

 

キネマ旬報1位など各賞受賞の傑作を、

ようやく今になって鑑賞。

 

原作者の同じ映画、「夕凪の街 桜の国」は、

田中麗奈の声が合わなかった、

という記憶しかない(すみません)のですが、

各所で評価されているとおり、

のんはとてもキャラクターに合っていますね。

 

戦時下におかれても、少しいらいらしてしまうほど、

おっとりのんびりした自分らしさを失わないヒロイン。

 

ところが作中最大の悲劇といえるシーンでは、

それが災いしてしまい、姪のみならず、

自分らしさの象徴を失う羽目になってしまう。

 

内容として、一言ではなかなか語れない映画、

そして一度見ただけではまるで分らないほど

細部へのこだわり(戦時資料・手旗信号その他)が強い映画のようなので

また色々な解説等と照らし合わせながら見てみたいものです。

 

1点、原作のエピソードをいくつかカットしているらしく、

話がよくつながらない部分があったので、少し残念な気がしていました。

どうやら、本来予定していながら資金不足で断念したためのようで、

それらを盛り込んだ長尺版が完成するのを楽しみにしようと思います。

 

 

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

2016 米

 

スターウォーズのスピンオフ的作品。

 

エピソード4で主眼のデス・スター攻防戦、

そのデス・スターの設計図をどうやって入手したのか、が描かれている。

 

主人公は冒頭で救い出されたのに大人になってもまだ手錠?

なぜ?と思ったものの

なるほどヒーローはいない設定なんだなと納得

 

こういう視点のものも斬新で、むしろ共感できて良かった。

特に後半はよくできていると思う。

Kはいい奴。

 

まあつまらないことを言ってしまえば

目標は設計図データしかない、他に何もないような星で、

簡単に陽動に引っかかりすぎだとは思うが、そこはお約束ということで・・・

 

CG出演の方々は残念というほかはないが、

ターキン提督は久しぶりに見て懐かしかった。

 

 

ルーム

2015 カナダ アイルランド

 

部屋の中しか知らない5歳の息子。

誘拐され7年も監禁されている母親。

 

二人は狭い部屋の中で暮らしていた。

 

 

部屋を脱出してからが本番の映画、と聞いてはいたのだが、

脱出までのシーンに約半分が割かれており、

制作陣が対比を重要視していることがうかがえる。

 

脱出後の二人も対照的。

外の「世界」をほぼ全否定していた息子が徐々に適応していくのに対し、

母親はむしろ逆で被害のトラウマも含めて、闇が深まっていく。

 

周囲の対応も様々で、「孫」を受け入れられない祖父、

孫に受け入れられるのか不安な祖母、

血縁関係はないが、優しい祖母の恋人。

 

「バァバ大好きだよ」と新しい「世界」を完全に受け入れ、

「縮んだ」過去の世界”へや”と決別していく。

子役のかわいさに飽きずに見られました。

 

暴行シーン・拉致シーンなどは描かれていないので、

そのあたりの心配はなく鑑賞可能な佳作。

 

母親役のブリー・ラーソンはアカデミー主演女優賞獲得。

後半の思い悩むシーンもそれなりですが、前半の演技は◎だったと思いました。