暗殺の森
1970 伊独仏
「ラストエンペラー」などのベルトリッチ監督作。
1930年代のイタリア。
主人公は少年期のトラウマのため、
自分が異常ではないかという恐れから
「正常」であることを強く求め
当時大勢を占めたファシストになることを決意する。
命じられたのは学生時代教えを受けた教授の動向を探ること。
彼は反ファシストとしてパリで活動している。
途中、命令は内偵から暗殺へと変化する。
教授の美貌の若妻にひかれる主人公。
優柔不断な彼は任務をためらうが、やがてその時が訪れる。
しかし最後までダメなままの主人公。
時は流れムッソリーニが失脚。
これまで「正常」であったファシストはもはやイタリアの大勢ではない。
彼の「正常」さは失われてしまった。
そんな折彼は街中でトラウマの原因を作った男と遭遇する。
「お前のせいで人を殺す羽目になった」的に罵り、罵倒する主人公。
トラウマなのはまあわかるが、
ファシスト入党、人殺し、すべて責任転嫁である。
アイデンティティーを失いさまよう彼が怠惰に座り込む姿で映画は終わる。
退廃的なイタリアを描いており
ヴィスコンティと似た雰囲気がありますね。
映像美を絶賛する人多しのようで、たしかに映像はきれいな映画。
ストーリーは練った脚本という系統では全然ないので
あまり気にせず撮影を楽しむ映画のようです。
人妻のドミニク=サンダ(撮影時20歳か19歳、若い!)が超美人。
主人公の妻役はチャーミングで愛らしい。
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