冷たい熱帯魚

2010 日

R18

 

愛のむきだし」の園子温監督。

実話事件三部作の第一弾、らしい。

第二弾は東電OL殺人事件を描いている「恋の罪」。


これは1995年に容疑者が逮捕された埼玉愛犬家殺害事件がモデル。

今回は舞台を熱帯魚店に置き換え、

おそらくいろいろアレンジが加えられている。

 

冒頭から印象的。

女が冷凍食品をすごい勢いで面倒そうにかごに入れていく。

家族の食事は、それだけなのだ。

 

しがない熱帯魚店主の社本は後妻の妙子と娘美津子と3人暮らし。
妙子と美津子の中は最悪だが、

社本は見て見ぬふりをし、何も対処しない。

 

ある日、美津子が万引きをしたと連絡が。
激怒するスーパーの店長をなだめてくれたのが、
アマゾンゴールドという熱帯魚店を営む村田だった。

 

村田と知り合った社本一家。美津子は彼の店でバイトすることに。

人当たりの良い村田だったが、彼がその本性を現した際、
社本はもう戻れないところまで到達していた・・・

猟奇描写があるので注意。


元の事件の方はかなり陰惨なもので、
高級犬の売買でトラブルになった相手や
過大な金銭要求をしてきた店の後ろ盾の元組員

などを次々と毒殺(獣医から入手したストリキニーネ)し

死体を解体、骨も焼却して川に捨てるというもの。

トラブル相手を飲み物に混ぜたカプセルで毒殺することができたのは
言葉巧みな人心掌握術によるものだったとか。


映画もわりとそんな感じで進みますが、
村田役のでんでんと、その妻の黒沢あすか、がいい演技ですね。


村田は人の気にしている部分というか、
その心理を見抜いて付け込むのが非常にうまい。

もともと崩壊していた社本の家庭だったが、各人の奥に抱えている
不満や鬱屈感を増幅され凄いことになっていきます。


新興宗教の教祖とか、

接見した若い弁護士も洗脳されそうになったとかいう兵庫県の事件

(主犯の女性が留置場で自殺)とかを思い出します。


しかしラストはどうなんですかね。

警察が家族をあそこに連れてくる意味も謎なので
無理やり感は否めない。

 

以下少しネタバレ。

 

 


家族は完全に崩壊したかに見えたものの、

その中でも妻に残っていた愛情を夫が全否定。

同じく娘に残っていたかに見えた父への思いを全否定。


全編結構面白いんだけど、テーマとかはよくわからないです。

ただインパクトは凄い。


グロイ描写、エロい描写は満載なので注意。

さすがに見てスカッとした気分にはならないかなと思います。

 

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