美しき冒険旅行

1971 英

ニコラス・ローグ監督作品を初見。

 

原題の「WALK ABOUT」は

アボリジニの少年が課せられる通過儀礼

 

冒頭、壁が映し出されたあと、

文明社会、消費社会を示唆する映像がしばらく続く。

幼い弟(監督の実子らしい)と高校生っぽい姉。

プールで泳ぐ二人。

 

姉弟を砂漠に連れてきた父親。なぜか地質学の書類を手にしている。

 

はしゃぐ弟といぶかしむ姉。

姉がピクニックの用意をしていると、父が唐突に弟に発砲。

 

意味不明ながら弟をかばい隠れていると、

父は車にガソリンをかけ拳銃自殺。

 

姉弟は当てもない砂漠を彷徨う羽目になる。

 

原作で姉弟が砂漠に取り残される理由は飛行機事故らしいので、

ここは明らかに監督のシニカルな視点が入っているんでしょうね。

都市、文明社会の不条理さ?理不尽さ?

 

姉弟は頑張って歩いていたが

とうとう行き倒れそうになるところでアボリジニの少年登場。

 

生に満ち溢れる動物たち、一方砂漠に転がり蛆がわくその死骸。

美しい中にも非情な営み。自然の厳しさ。

 

少年は生きるため狩りをし、肉を捌く。

残酷?グロテスク?

遊びで動物を狩るジープ、包丁で肉を切るシーンが被せられていく。

 

砂漠をはじめ自然の映像、動物の映像はとても美しい。

もともと撮影をしていた監督の力量は確か。

 

その後は文明社会に染まり切っていない幼さと男の本能(狩りに興味など)

からか少年と打ち解けていく弟と、

心は許していないもののそれなりに交流する姉、

といった描写が続いていく。

 

物語は終盤に差し掛かり、3人は廃屋に到着。

「ここで暮らそう、お前を愛する」という少年に対し、

そんなことは考えもせず、廃屋にある文明の痕跡に心惹かれる姉。

 

そんな様子を見て焦った少年はついに求愛のダンスを踊る賭けに出る。

黒い肌に骨の文様を描き、両手に花をもって踊る。

 

それを見てさして驚いた様子もない弟と心底おびえる姉。

「彼に何をされるか・・・」

所詮は相容れない世界の住人だったのだ。

 

翌朝ネタバレな事実のあと文明社会に帰還する姉弟。

 

時は流れ、つまらない仕事の話をする夫を迎える姉の目は虚ろ。

「もうあの日々は帰ってこない」という内容の詩とともに、

砂漠で楽しげに水遊びをする3人のシーンが姉の心によみがえるのだった。

 

うーん結構可愛くてドキドキしたお姉さんが

こんな生気のない女になってしまうのか・・・

 

 

 

さて、少女のセクシャルな要素のある作品を

図らずも続けて見たのでちょっと言及。

 

この映画の姉役(ジェニー=アガター)は当時16歳。

オーディション時は14歳だったが資金繰りの問題で撮影開始は2年後だったとか。

 

ラスト以外にも、彼女の水浴が5分くらい続く一部の方に有名なシーンがあります。

自然の中生き生きと泳ぐ、若くて瑞々しい姿と

ラストの虚ろな彼女との対比でしょうか。

 

印象としては、少女ではあるんですが設定年齢通りというか、

白人の16歳ということで年齢相応に成熟してるかなって感じ。

(次作のドン=ジエはこの点で対照的だった・・・)

アメリカでの公開時にはこのシーンカットされてしまったようなので

美少女の貴重なシーンとして見どころではあります。(笑)

 

彼女はほかにも、序盤から美脚ぶりを発揮したり

少年たちと戯れて木に登ってパンツ見えたりと、

少年が求婚したくなるような要素を振りまく役どころとなっております。

お疲れさまでした。。

 

次作のレビュー でこのテーマ?またちょっと触れます。