巨人と玩具
1958 日
ワールド、ジャイアンツ、アポロの三つどもえで覇を競うキャラメル業界。
今度の販促キャンペーンは社を挙げた熾烈な争い。
新米社会人でまだ青春を引きずる素朴な主人公の西(川口浩)。
彼が尊敬する上司、
ワールドのやり手宣伝課長合田(高松英郎)は
街角で一人の平凡な少女(野添ひとみ)を見つける。
彼女をメディア戦略で売り出し、社の広告塔に仕立て上げていくが・・・
後に「エコノミック・アニマル」とも言われた日本の高度成長期の異常な姿を
早くも描写している恐ろしい作品。
批評家の評判は良かったらしいが、
狂信的な仕事ぶりの果てに義父を追いやり部長に昇進。
血を吐きながら、死ぬ気で宣伝するよう発破をかける合田を殴り倒す西。
親友にも仕事がらみで裏切られ、非人間的な生き方に嫌気がさしつつも、
キャンペーンの被り物を着て夜の街をさまよい歩いてしまう・・・
というシュールで辛辣なラストに興行収入は伸びなかった。
作中、合田が「テレビでひたすら流せば大衆はバカだから従う」と
のたまうシーンはゲッペルスを思い出した。
さほどテレビ普及してない時期と思われるが、もう目をつけていたということなのか。
非常にスピーディな95分。