そこのみにて光輝く
2013 日
原作は未読ながら、
著者は何度も芥川賞候補になりながら受賞できず、
自死してしまったという作家。
ざっくり言えば「函館を舞台に人生の苦難をテーマにしている」
という感じの作風のため、本作も暗い。
友人を採石場の事故で失った達夫(綾野剛)はトラウマで仕事を辞め、
現実逃避でパチンコに明け暮れる日々の中、
仮釈放中の拓児(菅田将暉)と出会う。
軽薄だが人懐っこい彼に連れられ、家を訪ねるとそこは海沿いのバラック。
脳梗塞で寝たきりだが性欲は強い父、その世話に疲れた母、
家計を担うため塩辛工場と売春、さらに拓児の身元引受人の中島の相手をして
人生に疲れ切った姉、千夏(池脇千鶴)が暮らしていた。
達夫は千夏に魅かれ、その境遇から助け出そうとするが、
ことはそう単純ではなく・・・
というようなあらすじ。
これだけでもなかなかシリアスなのに映画はさらに哀しい展開になって行きます。
あまりこういう作品ばかりでもしんどくなるけど、娯楽作が続いたのでたまには。
海炭市叙景もなかなか良かったし。
しかしよそ者からすれば観光都市、異国情緒のロマンの町函館が
こう寂れた哀しい象徴のように描かれるというのも斬新だなと思う。
産業(鉱山とか)が衰退していく
北海道の悲哀みたいなものが底流にあるのだろうか。
池脇千鶴はジョゼを彷彿とさせる体当たり演技。