パターソン

2016 米

 

姓と同名の街でバスドライバーとして生きるパターソン。

 

6時過ぎに起床、一日運転、日没前に帰宅、ポストを直す、

ユニークな妻の料理、犬の散歩、一杯のビール。

 

毎日毎日規則的な彼の日常で変化と言えるのは

好奇心あふれる愛妻の行動、乗客の会話、

そして、パターソンの生きがいである詩作。

 

穏やかに丁寧に進んで行くこの作品は、

終盤まで悲劇というものはほとんど起こらない。

犬の誘拐に気をつけろという怪しい若者たち、チェス大会への資金流用発覚、

バスの故障、発砲?事件、その程度である。

 

日常の中の喜怒哀楽。

え、夕食にパイなのか?キヌアって食えるのか?程度で、

美人の奥さんは自分が大好き。同僚に愚痴るほどの不満もない。

幸せってことですね。

 

最後の立ち直り方はやや唐突な気がしたが、

「ちぎれたノートを全て繋いで詩が復活」という

映画「アルゴ」のような離れ業でハッピーエンドよりはこの映画らしいかもしれない。

 

ポストの謎とか犬繋ぐシーンとか、モノクロな妻のデザインとか、

細かい演出で意外と飽きない作りになっています。

 

静かな佳作であり、主人公もまたカイロ・レンとは対極な役ですな。

(たまたま続けて鑑賞)