フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

2017 米

 

フロリダのディズニーランド近くの安モーテルで暮らす少女が主人公。

楽しい夏休み、冒険がいっぱい。

 

カラフルな夢の国の街並みで夏休みにはしゃぐ彼女と友人たちの描写を通し、

彼女の意識していない現実が少しずつ観客に伝わってくる。

 

モーテル暮らし、言葉遣い、悪質ないたずら、それを悪いとも思わない親、

日々の食事、親の仕事、など・・・

 

主人公の母親役の女性は監督がインスタグラムを見て

映画のモデルとして選んだ女性で、適役がおらず、

結局実際に出演することになったとか。

 

娘への愛情はある一方、反省がない、改善がない、と批判もある母親。

では、あの状況で何をしたら良かったのかということも考えてしまう。

結局、人へのまともな対応ができなければ

どこで働いても上手くいかなかったのかもしれませんが・・・

 

愁いを帯びた、実は優しい管理人の名演が光る。

悪ガキとはいえ子どもに愛情も持っていて不審者もすぐ追い払い、

行き場のない人達を少しでもなんとかしてあげたい。

しかし、管理人に過ぎない彼は、踏み込めない限界も理解している。

また、彼の家族にも事情がありそう。だから優しいのかなとも思わせる。

 

ところでこの人、どこかで見たことあると思ったら

「グランド・ブタペスト・ホテル」の殺し屋役かよ・・・

また印象が全然違いますね。

 

サブプライムローンの影響があってここにやってきた人もいたのかもしれない。

そもそもそれ以下の境遇の人たちなのかもしれない。

現代アメリカの闇を、子供視点からさほど深刻にならず見つめられる映画。

それでも鑑賞後はやや暗いものが残ってしまったが。

 

ラストはある意味丸投げに終わっていて賛否両論かもしれない。

個人的にはあえてその後を書かないあの結末は悪くなかったと思っている。

 

余談

・「フロリダ・プロジェクト」とは

ディズニー・ランドの計画段階での呼び名だった。

・「プロジェクト」とはアメリカで、低所得層向けの公共住宅を指すらしい。