若おかみは小学生!

2018 日

 

地上波でやっていることを直前に知り、

評判がいいみたいだったので見てみることに。

 

原作の存在は知っていたものの、

・少し前だよね?

ライトノベルだっけ?(実際は児童文学の様子)

 

という程度の認識。

 

冒頭は作業しながら見ていたので

事故のシーンはしっかり見ていなかった。

 

その後、両親の描写に少し違和感を持ちつつ、途中で納得。

宿泊客への対処を頑張る主人公(と仲間たち)に

好感を持って見ていたものの、最後の展開でびっくり。

 

しかもそういう終わり方かぁ。

 

アニメもきれい、お話も号泣してしまったので

いい作品とは思います。

 

どうやらこの作品、

劇場版として、原作の展開を足早にし、

(これは原作物の宿命でもあります)

複数のエピソードを1人のキャラに詰め合わるなどし、

さらに、脚本の筋としてもオリジナルストーリーを作った、と。

 

そして製作者の意図としては

「子供向けに作ったが、興行的には大人にヒットし、驚いた」

 

ということのようです。

 

まあ基本の筋として、

「突然両親を目の前で亡くした少女が、悲しみから立ち直って頑張る」

 

というわかりやすいハッピーエンドの話かと思いきや、

 

「突然両親を目の前で亡くした少女が、

 親の死をしっかり受け止めないことで自我を保ちながら頑張る。

 さらにラストでその現実をこれ以上ない形で突き付けられるが

 (あれだけ頑張っておもてなしした相手が

  あの立場の人間とは、あまりにむごい)

 悲しみ、恨み、理不尽さなど負の感情を、

 すぐに切り替えて若女将に徹する」

 

ですからね。

 

シナリオが工夫された結果、

小学生には理解しにくくなったと思います。

 

・冒頭の事故のシーンが子供向けではない

・両親の死を受け入れないおっこを描くシーンや、

 ラストが子供に感情移入されにくい

 (トラウマからの現実逃避、高い職業意識、健気さなど)

・ウリ坊たちが見えなくなってしまう理由が子供にはわかりにくい

(親が死んでいるという、辛い現実と向き合ったからか?)

 

小学生でこのあたりをわかる子はかなり少ないでしょうね。

 

(また、原作の完結からだいぶたってからの映画化になってしまったために

原作のファンが見てくれなかった面もあるようです。)

 

では大人向きだったかといえばもう一つなところもあるとは思います。

 

・94分にまとめたため、主人公の成長物語として展開が早すぎる

(これは、主人公が親の死という現実を見ておらず、

 悲しみから立ち直る期間が不要になるため、

 すぐ頑張り始めたとしてもそこまで不自然ではないかなと思います)

 

・事故の相手方である客をあっという間に受け入れているのがおかしい

 

まあこれは急展開すぎるでしょうね。

 

しかし制作意図は子供向けなので、

そこの葛藤を延々やるわけにもいかなかったのでしょう。

 

結果的に、ありえないほど健気すぎる主人公となってしまいました。

文科省もおすすめするわけです。)

 

いろいろ書いてみましたが、

そうした部分を別に欠点で受け入れがたい、

などと思っているわけではなく、

いろいろな思惑があってこういう作品になったのかなと思っていますし、

 

この流れ、絵柄でこれほどシリアスな展開というのは新鮮で、

これはこれで良かったです。

(脚本の方は「聲の形」なども書いているらしいですね)

 

ということで、最後は少し驚いたものの、いい映画だったと思います。

意外な拾い物になりました。