ありがとう、トニ・エルドマン
2016 独
ふざけるのが好きなヴィンフリートは、
今日も配達員をからかって楽しんでいた。
しかし、老いた母親と犬は、どちらも具合が悪そう。
久々にルーマニアから帰って来た娘は、電話で席を外してばかり。
人生、なかなか楽しめないこともあるもんだ。
その後、老犬の死をきっかけにルーマニアへと旅立ったヴィンフリート。
仕事人間の娘が気になり、
自らの悪ふざけ好きもあってちょっかいを出すも、
休日も仕事がらみで忙しい娘には基本的に相手にしてもらえず、
気をつかってあっさり帰国。
と思いきや・・・
迷惑なちょっかいを出され続けたはずが、
心になんとなくゆとりができる、そういう存在がいることの大切さ。
もっと言えば、そういう存在を受け入れられない状況の危なさ、
というほうがいいのかも。
国際企業がルーマニアで資源搾取をしている現実、
その片棒、というか汚れ役を担わされる娘の仕事、
そうした搾取側の一員として、
知らず知らず、客として尊大な態度を取るのが
普通になってしまっている娘。
などさりげないながら舞台背景として描かれている点は
どれほどのテーマなのかはわからず、
おそらく娘の転職にもあまり影響していない様子。
なかなか異色の映画でした。