スターリンの葬送狂騒曲

2017 仏 英 ベルギー カナダ

 

1953年、スターリンが急死。

後継者は指名されていなかったため、

秘密警察トップのベリヤ、共産党第一書記のフルシチョフ

腹心のマレンコフらは権力を巡って策謀を巡らせるのだが・・・

 

ブラックコメディーということで、

目にした時にかなり期待した映画。

 

最初はコメディー要素が意図的に入れられていましたね。

ところが後半になるにつれ、

純粋な史実(なのではないか)という感じも強まり、

「思ったほどは面白くなかったかな」と思ってしまいました。

 

いや序盤のコメディータッチは少しくどい感もしていたので

バランスも大事と思うし、別に最後まで悪くはないんですよ。

期待が大きすぎたからかな・・・

 

チャップリンの独裁者」みたいに、

架空の国でパロディ調にした方がもっと良かったのかもしれません。

惜しいなあという印象です。

 

ちはやふる -結び-

2017 日

 

競技かるたを題材にした漫画の映画化。

上の句・下の句に続いての三部作完結編。

相変わらず原作は未読です。

 

下の句ではたしか団体戦の描写が減少していたので

少しいまいちだった記憶が。

 

しかし本作では団体戦メイン、むしろそればかり、

という展開になり王道部活青春もの路線が復活。

 

やはり団体戦は熱いです。

 

違うんだよ、個人戦×5じゃないんだよ。

競技は違えど懐かしい気持ちになりました。

 

他には、一気に高3ということで受験の描写(おいおい、理三かよ)や

一応三角関係の描写などもそこそこ。

原作はどうなっているのかわからないけど、

あまり掘り下げられてはいないですね。

 

だいぶ展開が端折られているんでしょうか

いきなり教師を目指したあたりは唐突は唐突ですが、

最後綺麗にまとまったのでいい終わり方だったと思います。

 

豪華キャストでキャラの魅力と華やかな和服、

熱い団体戦、という青春映画シリーズですね。

昔を思い出したこともあり、たまにはこういう路線も良かったです。

 

カメラを止めるな!

2017 日

 

昨年一といってもいい話題作。

 

今更ながら、ついに地上波で放映されたので鑑賞。

 

うん、内田けんじ系ですね。

ということで以下ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒頭、長回しで撮影されるゾンビ映画

ゾンビ映画はほとんど見ることがないため、

ジャンルとしてのクオリティーはあまり判断できないのだが、

どうもおかしいところが幾つも見て取れる。

 

変なやりとりして中だるみしてるし、

なぜか座ってるだけの奴がいきなり外に出たがるなど、

展開も明らかに不自然だし・・・

最後もこの終わり方はなんなんだ?

でもまあ勢いはあったしつまらなくはなかったかもね。

 

というところで時は1か月前に戻る。

実はこの撮影の舞台裏では・・・というストーリー。

 

TV鑑賞のため見返せていないのだが、

内田けんじ作品でやや感じる「どうですか、この脚本」という匂いや、

改めて見返さないとわからないところはなく、

「あ、この伏線回収した!」

「あそこで様子がおかしかったのはこういう理由だったのか」

と素直に感じさせてくれ、楽しませてくれる。

 

主人公の恋人はいつゾンビ化したのか不明だが、

まあ当初の(作品内の)脚本ではちゃんと話があったのだろう。

 

役者に合わせあて書きしたというだけあって、

俳優と登場人物はよくマッチしていたし、

プロデューサーが組体操をやらされていたところも◎。

 

その他、演劇といえば小学校の学芸会くらいしか経験がないので、

映画の舞台裏、演出や小道具なども個人的にはなかなか面白かった。

 

感想などを拝見すると最後の最後のエンドロールを称賛している方も多い。

個人的に気になった点としては、

そこに脚立が出てきていた気がするものの、

何を意味しているのか明確にわかっていないので

またそのうちに見返したいと思います。

(ラストシーンを実際は脚立で撮影したということ?)

 

家族ものの温かみ、絆という点に関しては

自分としてはさほど印象には残らなかったかな。

監督が自室で泣いてたのと、酒飲みのおじさんエピソードの伏線回収ですよね。

もちろん、そういう要素もあったことはわかるけど。

 

みなさん観終わったあといい気分になれるエンターテインメント映画ですね。

こうした映画が多くの人の目に触れて良かったと思います。

 

そしてなぜかわからないが「丹下左膳余話 100万両の壷」を思い出してしまった。

また借りてこようかな。

 

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

2017 米

 

フロリダのディズニーランド近くの安モーテルで暮らす少女が主人公。

楽しい夏休み、冒険がいっぱい。

 

カラフルな夢の国の街並みで夏休みにはしゃぐ彼女と友人たちの描写を通し、

彼女の意識していない現実が少しずつ観客に伝わってくる。

 

モーテル暮らし、言葉遣い、悪質ないたずら、それを悪いとも思わない親、

日々の食事、親の仕事、など・・・

 

主人公の母親役の女性は監督がインスタグラムを見て

映画のモデルとして選んだ女性で、適役がおらず、

結局実際に出演することになったとか。

 

娘への愛情はある一方、反省がない、改善がない、と批判もある母親。

では、あの状況で何をしたら良かったのかということも考えてしまう。

結局、人へのまともな対応ができなければ

どこで働いても上手くいかなかったのかもしれませんが・・・

 

愁いを帯びた、実は優しい管理人の名演が光る。

悪ガキとはいえ子どもに愛情も持っていて不審者もすぐ追い払い、

行き場のない人達を少しでもなんとかしてあげたい。

しかし、管理人に過ぎない彼は、踏み込めない限界も理解している。

また、彼の家族にも事情がありそう。だから優しいのかなとも思わせる。

 

ところでこの人、どこかで見たことあると思ったら

「グランド・ブタペスト・ホテル」の殺し屋役かよ・・・

また印象が全然違いますね。

 

サブプライムローンの影響があってここにやってきた人もいたのかもしれない。

そもそもそれ以下の境遇の人たちなのかもしれない。

現代アメリカの闇を、子供視点からさほど深刻にならず見つめられる映画。

それでも鑑賞後はやや暗いものが残ってしまったが。

 

ラストはある意味丸投げに終わっていて賛否両論かもしれない。

個人的にはあえてその後を書かないあの結末は悪くなかったと思っている。

 

余談

・「フロリダ・プロジェクト」とは

ディズニー・ランドの計画段階での呼び名だった。

・「プロジェクト」とはアメリカで、低所得層向けの公共住宅を指すらしい。