蜜蜂と遠雷

2019 日

 

恩田陸原作だが、そちらは未読。

 

ピアノコンクールに挑む若者たちの様子を描いた作品。

主人公は過去のコンサートがトラウマになっており、

その克服と「外の世界の音楽」についてという、音楽性がテーマ。

 

音楽性についてはよくわからないものの、

自然音を音楽に取り込むという意味で、

ショパンの「雨だれ」が何度も使われている。

 

ストーリー展開は説明不足というか、

ストレスは感じないんだけど掘り下げが弱い感じはします。

 

主人公が音楽への情熱を取り戻すシーンは

ニーチェの馬」みたいな白黒っぽい謎の馬ですしね・・・

 

toto-alfred.hatenablog.com

 

まあ駆け足なのは原作物の宿命で仕方ないですけどね。

 

恋愛要素などはほぼなく、

演奏シーンが長いのでそれを楽しめる人、

プロコフィエフが好きな人にはいいかもしれません。

 

また、本選のコンチェルトは原作と比べ、

幼馴染同志で曲を入れ替えてあるようで、

ちょっとした遊び心ということなのでしょうか。

 

風間くん役の人は表情が豊かでよかったですが、

広瀬すずがエキストラから見出した人材、

という点も印象的でした。

 

記憶にございません!

2019 日

 

三谷幸喜 脚本・監督

 

史上最悪の支持率2.3%を誇る悪徳政治家黒田総理。

 

ある日、投石に遭い、

政治家になってからの記憶をすべて失ってしまう。

 

一転、いい政治をすべく奮闘することになるのだが・・・

 

冒頭のコメディタッチはなかなか面白い。

 

政治劇はわりと好きだし、

中盤もクオリティがそれなりに持続して悪くない感じなのだが、

 

最後、愛の告白で乗り切るというのは

あまりにべたな感じ。

 

また、冒頭の伏線回収警察官のノリなど

一部の味付けは濃すぎてやや胃もたれする。

 

この人はやはりというか舞台のような展開が多く、

映画としてはくどい、わざとらしい、という感じが強い。

 

もっと自然というか、スマートなまとめ方になったらいいんだけど。

 

石田ゆり子はきれい

小池栄子は正統派秘書官としてそれなりによかったが、

 もっと違う魅力がある人だとは思う

 

フリーライター役の佐藤浩市

草刈民雄のダブルキャストかと思ってしまった。

 

結構、似てますよね・・・?

 

 

 

若おかみは小学生!

2018 日

 

地上波でやっていることを直前に知り、

評判がいいみたいだったので見てみることに。

 

原作の存在は知っていたものの、

・少し前だよね?

ライトノベルだっけ?(実際は児童文学の様子)

 

という程度の認識。

 

冒頭は作業しながら見ていたので

事故のシーンはしっかり見ていなかった。

 

その後、両親の描写に少し違和感を持ちつつ、途中で納得。

宿泊客への対処を頑張る主人公(と仲間たち)に

好感を持って見ていたものの、最後の展開でびっくり。

 

しかもそういう終わり方かぁ。

 

アニメもきれい、お話も号泣してしまったので

いい作品とは思います。

 

どうやらこの作品、

劇場版として、原作の展開を足早にし、

(これは原作物の宿命でもあります)

複数のエピソードを1人のキャラに詰め合わるなどし、

さらに、脚本の筋としてもオリジナルストーリーを作った、と。

 

そして製作者の意図としては

「子供向けに作ったが、興行的には大人にヒットし、驚いた」

 

ということのようです。

 

まあ基本の筋として、

「突然両親を目の前で亡くした少女が、悲しみから立ち直って頑張る」

 

というわかりやすいハッピーエンドの話かと思いきや、

 

「突然両親を目の前で亡くした少女が、

 親の死をしっかり受け止めないことで自我を保ちながら頑張る。

 さらにラストでその現実をこれ以上ない形で突き付けられるが

 (あれだけ頑張っておもてなしした相手が

  あの立場の人間とは、あまりにむごい)

 悲しみ、恨み、理不尽さなど負の感情を、

 すぐに切り替えて若女将に徹する」

 

ですからね。

 

シナリオが工夫された結果、

小学生には理解しにくくなったと思います。

 

・冒頭の事故のシーンが子供向けではない

・両親の死を受け入れないおっこを描くシーンや、

 ラストが子供に感情移入されにくい

 (トラウマからの現実逃避、高い職業意識、健気さなど)

・ウリ坊たちが見えなくなってしまう理由が子供にはわかりにくい

(親が死んでいるという、辛い現実と向き合ったからか?)

 

小学生でこのあたりをわかる子はかなり少ないでしょうね。

 

(また、原作の完結からだいぶたってからの映画化になってしまったために

原作のファンが見てくれなかった面もあるようです。)

 

では大人向きだったかといえばもう一つなところもあるとは思います。

 

・94分にまとめたため、主人公の成長物語として展開が早すぎる

(これは、主人公が親の死という現実を見ておらず、

 悲しみから立ち直る期間が不要になるため、

 すぐ頑張り始めたとしてもそこまで不自然ではないかなと思います)

 

・事故の相手方である客をあっという間に受け入れているのがおかしい

 

まあこれは急展開すぎるでしょうね。

 

しかし制作意図は子供向けなので、

そこの葛藤を延々やるわけにもいかなかったのでしょう。

 

結果的に、ありえないほど健気すぎる主人公となってしまいました。

文科省もおすすめするわけです。)

 

いろいろ書いてみましたが、

そうした部分を別に欠点で受け入れがたい、

などと思っているわけではなく、

いろいろな思惑があってこういう作品になったのかなと思っていますし、

 

この流れ、絵柄でこれほどシリアスな展開というのは新鮮で、

これはこれで良かったです。

(脚本の方は「聲の形」なども書いているらしいですね)

 

ということで、最後は少し驚いたものの、いい映画だったと思います。

意外な拾い物になりました。

 

メン・イン・ブラック インターナショナル

2019 米

 

シリーズのナンバリングではなくスピンオフという位置づけらしい。

 

このシリーズとの個人的な関りは

 

1は見たがあまり覚えていない。

2は見たかもしれないが覚えていない

3は少なくとも断片的には見た。

 

という程度の状態。

 

まあスピンオフなので過去作未見でも全く問題は無いようですけどね。

 

あまり期待せずに見始めたけど、結構面白い。

本筋は謎を残しつつそれなりにうまく進んでいくし、

メカの数々も楽しい。

 

以下気になったところ

 

・冒頭でHが女性を利用して危機を脱する展開がやや不自然だと思った。

 しかし、「異星人にもモテる」という伏線だったんですね。

 

・「Hは昔と変わった」というのはなんだったんだ?

 

・強力な敵であるあの二人組はあっさり退場し、掘り下げられなかった。

 もったい無い気もする。

 

ちなみに本作、

ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズは一切出てこない。

 

また、一部の不満としては、

 

・エイリアンがあまり「異形のもの」という感じがない

・今回のコンビはバディ物としてイマイチ

 

という声もあるみたい。

 

後者については確かにね・・・

Mを優秀新人にしてしまったため、

Hの無能な部分をある程度目立たせる必要が出てきてしまった。

 

その辺りシリーズ物のスピンオフはなかなか難しいと思うけど、

娯楽作としては十分及第点かなと思います。