ファニーとアレクサンデル

1983 独 仏 スウェーデン

 

ベルイマンが遺作として撮った長編作品。

自伝的要素も含むらしいが、5時間を超えるためこれまで躊躇してきた。

 

一応ファニーとアレクサンデルという兄妹が題名になってはいるものの、

彼らが直接見聞きしないシーンも多く、ファニーの登場シーンはさらに少ない。

 

なお、アレクサンデルは感受性豊かな少年で、幽霊を見ることができる。

 

1907年のクリスマス。

エクダール家では一族が集まり盛大なお祝いが行われようとしていた。

一家の女主人、その息子と嫁、孫たち。営む劇場の俳優たち。メイドたち。

 

華やかな上流階級の宴が描かれ、

その後は息子と嫁の関係など色恋沙汰の人間模様。

こういうタッチで続いていくのかな、と思わされる。

 

ところが次章では長男が急死。

その若い妻は取り乱し、夫から引き継いだ劇場の運営もうまくいかず、

相談に乗ってくれた主教と結婚してしまう。

 

続いて、実は悪魔の化身ともいえるこの主教の本性が暴かれる。

 

くだらない規律を重視する、というよりも

弱者を屈服させ、支配下に置くことだけが生きがいのような

狂気に満ちた主教。

その忠実なしもべの妹、抵抗がありながらも傍観する母親。

可愛らしい少年だが意志の強いアレクサンデルはこの魔の主教館で

地獄を味わうことになり、若い母親も似たようなものとなるが、

狡猾な主教に対しなかなか離婚できず脱出できないのだった。

 

この絶望はいつまで続くのか、神はいないのか、

むしろ邪な者の味方なのか、という展開から

意外な成り行きで彼らは地獄から生還する。

 

エクダール家では再びお祝いが開かれるのであった。

そこには新たな命があり、新たな門出もある。

 

おしまい。

 

序盤もなかなか悪くないのだが登場人物が多いので把握に少し手間取った。

かつ妻に八つ当たりしていたぶる(というか甘えているようなもの)

次男のやりとりなど、少し眠かった。

 

その後はシリアスな展開となって行き、

宗教とは、それを薄汚く利用する者の存在、

弱さを突かれ、ある意味洗脳されてしまう女のもろさ、

神の存在とは、嘘をつくことの罪とは、

など色々なことを考えさせられはするのだが、

とにかく主教役の俳優の名演が恐ろしい。

 

かなり長い映画ではあるけれど、

かわいい兄妹はじめ登場人物も個性と魅力があるし、

世界観もなかなか。

 

見てみる価値は十分あると思います。

 

 

しかし下のサムネイルはもっとほのぼのした

兄妹の触れ合いシーンかと思っていたところ、実際は・・・