ハドソン川の奇跡
2016 米
2009年1月、ニューヨークのハドソン川に旅客機が緊急着水。
大参事も予想されたが155人の乗員乗客が全員生還。
有名な映画なので気になってはいたものの、
事故のパニックムービーとしたらそれで尺は持つんだろうか、
大筋のストーリーはみんな知ってるし・・・と勝手に懸念していた。
違うんですね。テーマは機長の判断と葛藤について。
事故直後から世間では既に英雄視されている機長ですが、
事故調査委員会に厳しく追及されます。
航空会社・保険会社の代理人呼ばわりされたり、
調査委員会は悪役として描かれていますが、
事故原因究明と再発防止に存在意義はあるわけで、
それはわかっているから機長も悩む。
確信的に正しい判断だったはずだが、もしかしてミスしたんじゃないか。
どうなるんだろうか。もしミスで乗客を危険にさらしたのだとしたら・・・
そもそも、周囲の歓喜・英雄視をよそに、職人肌の機長は「ベストを尽くしただけ」
としか思っていない様子も強いと感じた。
確かに防げない緊急事態だったし、うまく着水はできたんだけど、
順調にフライト終了、ミッションコンプリート(いい結果)
と比べたらこの結末(悪い結果を回避した)では
全然嬉しい気持ちにならないのもわかる。
こういう職人気質の主人公はイーストウッド好みですね。
尺の方もエンドロール直前で88分。コンパクトな良作に仕上がっています。
機長がトム・ハンクスだということにエンドロールで気付き、
ちょっとショックを受けました。何を見ていたんだろうか。
帰ってきたヒトラー
2015 独
ベストセラーの映画化だそう。
総統地下壕で自殺したはずのヒトラーが
2014年のドイツに蘇ったとしたら・・・という設定。
戸惑いながらも情報を集め現状に適応し、
最善の策で「二度目」を狙うヒトラー。
最初はいろいろ可笑しいシーンが多いコメディタッチ。
一方、この映画の恐ろしいのは
撮影当時のドイツ国民の本音を直接引き出すことに成功したところ。
ヒトラー役の俳優はメイクしたその姿でドイツ全土をまわり、
380時間に及ぶ映像を撮ったとか。
今のドイツの問題点は?と各地の人に聞いて回る。
「外国人は・・・」「国へ帰れ」「選挙は操作されている」「収容所を作れ」
そうした波に乗って人心を掌握していくヒトラー。
ラストのセリフは排斥主義が強まる世界を表しているだろう。
俳優・スタッフが「嫌悪を示す反応に安堵した」という、
実はかなり真面目な映画。
猿の惑星 新世紀 ライジング
2014 米
下の作品の続編。
森に逃げて穏やかに暮らすシーザー達に対し人間はウイルスで激減。
そこにかつてのダムを再起させ電力を得るため
技術者たちがやってきたが・・・。
前作からの高いパフォーマンス・キャプチャーのレベルは健在。
最初よくわからなかったのだが、
俳優が動きや表情を演技しそれをCGに取り込むという技術のよう。
繊細な表情、ドラマ性を描き出すことに成功している。
どうしても相容れない存在。偏見・禍根・行き違い。
現代社会の縮図ともいえる展開はなかなか。
しかしやはり猿も銃を使うのか。そうじゃないと勝負にならないだろうけど。
前作の舞台が少し登場しているのは良かった。
オバマ大統領が出ていたらしいがあまり注意していなかったので気づかなかった。
多分冒頭なので今後見られる方は注意してみてください。
続編が出るらしいのでまったり待ちます。
猿の惑星 創世記 ジェネシス
2011 米
猿の惑星シリーズの発端である、
猿が地球の支配者となった経緯を描く作品。
猿の惑星シリーズ(全5作)および
リ・イマジネーションも含めシリーズ全くの未見です。
認知症治療薬開発の実験体となった
チンパンジーは目覚ましい知性を獲得。
人間との絆よりも種としての本能を優先し、
仲間と共に安住の地へ帰っていくのであった。
一方人間は無謀な研究・生産により生み出された新薬により、
自滅への道をたどるのだった・・・
というのがあらすじでこれ自体はそうたいしたことはない。
主人公の研究者は純粋にまた一緒に暮らそうよ、
というのみであまり葛藤とかもないし。
(むしろ主人公は猿なのだが)
ただ猿のモーションキャプチャーというか動きは巧みで、
アクションものとしてみればなかなか面白い。
ヒロインの人はスラムドッグミリオネアの人なのかな。美人ですね。
ラスト伏線の張り方はなかなか良かった。
続編(猿の惑星 新世紀)は評価が高く以前から気になっていたので、
これで安心して観られる。