インフェルノ

2016 米

 

お馴染みラングドンシリーズの第4弾?みたい。

3作目は映像化を断念したとかなんとか。

 

ラングドン教授がフィレンツェの病院で目覚め、記憶喪失気味。

なんで怪我したのかなど、思い出していたら誰かに襲撃されるし

怪しいイメージが頭をよぎるし・・・とヒロインと一緒に謎解き。

 

ライトすぎるのでもう忘れてしまっていましたが、

そういえばダ・ヴィンチ・コードルーブルで、天使と悪魔はヴァチカンでした。

フィレンツェヴェネツィアイスタンブールと話は展開、

馬が戦利品だとか結構有名な話もあったりしながら

地下宮殿のメデゥーサにたどり着いていく。

 

二転三転の展開で飽きなかったけど、

後半のロマンスは別に不要、

ラングドンにしか解けない暗号を富豪が残す意味とは・・・など

まあその辺りはあまり突っ込んでも仕方がない感じもしますけどね。

 

そういえば美術学者だったよね、

と思い出しながらそれなりに楽しみました。。

 

 

シン・ゴジラ

2016 日

 

東京湾に異常事態が発生。何が起きたかと対策会議中。

「なに、未知の生物の仕業だと?バカ言うな・・・え、何この生物・・・」

 

やや軽すぎるが、そういう危機管理側の視点で制作したらしい。

その程度の前提知識で鑑賞。

 

人間ドラマとかはほぼなく、

早口のセリフ、状況説明、肩書説明、場所説明などが

矢継ぎ早に繰り出されていくリアルな政治劇。

予想と違っていたのは、当初こそ内閣の動きや首相の苦悩なども出てくるものの、

後半は退場してしまい特殊プロジェクトチームがメインだったということ。

やることが明確なので苦悩はしなくなりプロジェクトX的な感じになっています。

悪者は出てこないし、日本人の仕事への美意識を強調しすぎなところが

微妙かもなと、ひねくれてみたくなる感もあったりはしますが。

 

線量とか原子力規制庁とか、東日本前ならばほとんどの国民になじみのない、

しかし今では誰もが知っている用語を散りばめ、その点のメッセージ性は高い。

ゴジラが残り続けるという結末も、忘れるなという監督の強い意図を感じた。

 

かなり力を注いで作られた作品なことは間違いない。

 

ハドソン川の奇跡

2016 米

 

2009年1月、ニューヨークのハドソン川に旅客機が緊急着水。

大参事も予想されたが155人の乗員乗客が全員生還。

 

有名な映画なので気になってはいたものの、

事故のパニックムービーとしたらそれで尺は持つんだろうか、

大筋のストーリーはみんな知ってるし・・・と勝手に懸念していた。

 

違うんですね。テーマは機長の判断と葛藤について。

事故直後から世間では既に英雄視されている機長ですが、

事故調査委員会に厳しく追及されます。

 

航空会社・保険会社の代理人呼ばわりされたり、

調査委員会は悪役として描かれていますが、

事故原因究明と再発防止に存在意義はあるわけで、

それはわかっているから機長も悩む。

 

確信的に正しい判断だったはずだが、もしかしてミスしたんじゃないか。

どうなるんだろうか。もしミスで乗客を危険にさらしたのだとしたら・・・

 

そもそも、周囲の歓喜・英雄視をよそに、職人肌の機長は「ベストを尽くしただけ」

としか思っていない様子も強いと感じた。

確かに防げない緊急事態だったし、うまく着水はできたんだけど、

順調にフライト終了、ミッションコンプリート(いい結果)

と比べたらこの結末(悪い結果を回避した)では

全然嬉しい気持ちにならないのもわかる。

 

こういう職人気質の主人公はイーストウッド好みですね。

尺の方もエンドロール直前で88分。コンパクトな良作に仕上がっています。

 

機長がトム・ハンクスだということにエンドロールで気付き、

ちょっとショックを受けました。何を見ていたんだろうか。

帰ってきたヒトラー

2015 独

ベストセラーの映画化だそう。

 

総統地下壕で自殺したはずのヒトラー

2014年のドイツに蘇ったとしたら・・・という設定。

 

戸惑いながらも情報を集め現状に適応し、

最善の策で「二度目」を狙うヒトラー

最初はいろいろ可笑しいシーンが多いコメディタッチ。

 

一方、この映画の恐ろしいのは

撮影当時のドイツ国民の本音を直接引き出すことに成功したところ。

 

ヒトラー役の俳優はメイクしたその姿でドイツ全土をまわり、

380時間に及ぶ映像を撮ったとか。

今のドイツの問題点は?と各地の人に聞いて回る。

「外国人は・・・」「国へ帰れ」「選挙は操作されている」「収容所を作れ」

 

そうした波に乗って人心を掌握していくヒトラー

ラストのセリフは排斥主義が強まる世界を表しているだろう。

 

俳優・スタッフが「嫌悪を示す反応に安堵した」という、

実はかなり真面目な映画。