桃さんのしあわせ

2011 中国 香港

 

実在の映画プロデューサーの体験を基にした映画らしい。

台湾などの映画賞を数多く受賞している。


両親を失い13でメイドとして働きだしてから、

60年以上も仕えてきた桃(タオ)さん。

今では家族はアメリカ韓国など世界に散らばり、

香港に残る映画プロデューサーのロジャー(アンディ・ラウ

の身の回りの世話をしている。

 

このロジャー、幼少期から家族で一番桃さんに可愛がられており、

今はもう桃さんがいるのが当然のよう。

料理を出されるのも当たり前で無言。

 

ロジャーを案じる桃さんが

自分の後釜の家政婦の面接をするシーン。

何が食べたいあれは嫌だなど

(魚は蒸し焼きだけ、肝を二日に一回出せ、など)

相当なお坊ちゃまぶりに、どの候補者もありえないと席を立つ。


そんなある日、桃さんが脳卒中で倒れる。

ロジャーはその存在の大きさを実感し、

献身的に彼女のために尽くすようになっていく。

血縁はないが実の親子のような、二人の物語。

 

ロジャーの家族と時々交流したり、施設での人間関係などを交えつつ

徐々に桃さんとの別れの時は近づいてくるのだった。


お涙ものでもなく淡々としており(2時間だが、前半少し冗長)

まさにミニシアターの佳作だなあという出来です。

 

施設の壁はベニヤみたいで

廊下との仕切りはカーテンがあるだけと、

日本でも話題になった脱法ハウスかそれ以下という印象。

 

また、介護をめぐる人間関係の現実も見せつけられる。

 

施設費を妹と折半するはずの兄。

息子びいきの母親からさっさと財産だけ譲り受け

母を訪ねてこないどころか、約束の入所費半分さえも払わない。

 

頻繁に母を訪ね、時に兄をなじる妹。

それでも母は息子が好きで、

新年一緒に過ごそうとやってきた娘(妹)の誘いに渋る。

 

妹は立つ瀬がないが、そこを取り持つ桃さん。

 

桃さんは家政婦として長年やってきたプライドとこだわりをもちつつ

寛容で温かみもある女性として描かれています。

 

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