ガスパール 君と過ごした季節
1990 仏
ガスパールとロバンソンは働いていた錠前屋が倒産し失業中。
南仏の海辺でレストランをやるべく廃屋の修繕に励む。
夜は前職を生かし家屋に侵入して食料をいただく日々。
ロバンソンは母に捨てられ宿無しで街をさまよった経験を持ち、
似た境遇の人に手を差し伸べずにはいられない。
ガスパールは妻子に去られた経験を持ち、ぬくもりを嫌い、
孤独と自由に落ち着きを見出している。
若く人懐っこく、無邪気なロバンソン。
そんな彼の人の好さを心配し、
悪態をつきつつも時折ふざけ合う中年のガスパール。
ある日ロバンソンは道をさまよう老婆をみかね、一緒に住まわせる。
嫌がるガスパールだったが、彼も表現の仕方を封じているだけで、
根はやさしい人間なので結局受け入れ、
三人は次第に家族のように情を交わしていく。
そして街で見かけた母娘に同情したロバンソンは彼らを気にかけ、
また、若い母親に一目ぼれをする。
貴重な食料を恵むことをよく思わないガスパールだったが、
偶然遭遇した彼らの危機を見過ごすことができず、同居することになる。
疑似家族として馴染んでいく4人に対し、
彼らと喜びを分かち合いつつも、逆に孤独を募らせるガスパール。
彼は苦悩の末、別の道を選ぶのだった・・・
ミシェル=ルグランの音楽がとても抒情的で切なく、
悲しみを包含して生きる登場人物たちとマッチしている。
ロマのルーツを持ち、弱者に優しい目線のトニー=ガトリフ監督。
もう少し見てみようと思いました。
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