サラの鍵
2010 仏
1942年、パリに住むユダヤ人の少女サラ。
ある朝踏み込んできた警察にただならぬものを感じ、
弟ミシェルを納戸の中に隠す。
すぐ戻ってくるからと言い聞かせて・・・
当時、フランスには親ナチ政権が樹立しており、
その意向を受けユダヤ人狩りが行われたのだった。
(ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件)
すぐ戻ってこれるはずもないのだが、
なんとかして家に帰ろうとするサラ。
一方、現代の同じアパートに越してきたジャーナリスト、ジュリア。
あるきっかけでここが元ユダヤ人家族の住居だったことを知り、
一家に起きた出来事を調べ始めるのだった。
この二つの視点で交互に物語は進みます。
以下ネタバレあり
周囲の人々の好意に助けられ、なんとか家に戻ったサラ。
しかしミシェルは残念ながら助からなかった。
その後サラは恩人の下を離れ、アメリカで結婚・出産するものの
次第に情緒不安定になっていき、
ある日車でトラックに突っ込んで自殺してしまう。
その経緯がジュリアの視点から明かされていく。
サラの少女時代を演じたメリュジーヌ・マヤンスは可愛らしく、
違和感なく自然に演じている。
成長した姿を演じたシャーロット・ポートレルはかなりの美女で、
愁いを帯びた表情が印象に残る。
過去のシーンは半分程度で、
ジュリアの抱える家族の悩みも描かれるため、
いわゆるホロコーストものとはやや趣が異なっている。
残されたものの苦悩、という点では黒木和雄監督の
「父と暮らせば」を連想した。
(広島原爆で生き残った娘が自分だけ生き残った罪悪感に苛まれ、
幸せになる権利などない、と自責する。
それを亡き父の幽霊が励まし、叱咤し、前に向かわせようとするという話。)
本作と同事件を題材にした映画に、「黄色い星の子供たち」があります。
[]