ちはやふる 上の句

2016 日

 

ヒット漫画の映画化。(原作・アニメ未見)

 

高校生になり競技かるた部を作ることに決めた千早(広瀬すず)。

小学生時代楽しい時を過ごしたかるた仲間の一人、太一と再会。

 

公開中作品のため、以下ネタバレ有、注意

 

 

 

 

 

 

 

完全ネタバレですが、この太一、

千早目当てでわざわざ転校してきたという設定の割には

かるた部入部に消極的すぎだと思うんですが・・・

 

(あれだけ熱烈に誘われ、

さらに今後ずっと一緒に居られるんだから入らない手はないはず)

 

まあそんなことはともかく新入部員達の葛藤、成長などが描かれ、

鑑賞者にとり、高校の部活・大会の情景が蘇ってくる、さわやかな青春ムービー。

原作は知らないが広瀬すずなかなかハマっていたのでは。

海街ダイアリーとはだいぶ違う

比較的素に近い感じなのかなという勝手な印象。

 

少しエピソードは定番にすぎるきらいもあるが、

太一の苦悩(卑怯な主人公)というスパイスにより映画が引き締まっているし、

最後の決着がああいう形というのも意外にありえることだし

工夫されていてなかなかよい。

相手の無念も背負って代表になるという感も多少出る。

 

ところで、かるたは素人で、やった経験も幼少時に少ししかないものの

なんとなく、「関係ない句を読んでるんじゃないか?」という疑問があった。

 

それがなるほど、タイミングを計るため

前の句から読むということで勉強になりました。

  

脱出

1945 米

 

ヘミングウェイ原作の映画化。

 

真偽は確認できないが、一説によれば、ハワード・ホークスが 

「君の作品の最もつまらない作品すら面白い映画にして見せる」

と言ったことで映画化が決まったらしい。

 

第二次大戦中の仏領マルチニク島が舞台。

釣り船の船長をしていたハリー(ハンフリー=ボガード)は

アメリカ人だしもめ事はお断りという政治的スタンス。

しかし、ヴィシー政権の強硬なやり方に反感を募らせ

レジスタンスに手を貸すことにする。

 

そんな中知り合ったマリー(ローレン=バコール)との

ロマンスが展開されるという作品。

 

正直、マリーは映画の筋に関係ないんだけど、当時19才 にして凄い貫禄。

鉄火場を生き抜いてきた大人の女という感じで、

これだけでも見る価値はある。

 

そしてこの後すぐボガートと結婚してしまうという電撃ぶり。

バコールを気に入ってたハワード=ホークスは面白くなかったとか・・・

 

ウォルター=ブレナンの怪演も味がある。

 

ところでマルチニク島は地中海?と思ったらカリブ海の島なんですね。

世界各地に領土があってバカンスもわりと楽に行けるのが羨ましい。

 

007 スペクター

2015 米=英

 

お馴染みシリーズの最新作。

 

ボンドはメキシコで見つけた

ターゲットとの一騒動により停職となってしまう。

 

そんな折、

各国諜報機関で情報の共有化を図るという

新たなシステム構築の話が持ちあがり、

MI6は過去の遺物として存亡の危機にさらされる。

 

単身探りを入れるボンドは、

Qやマネーペニーの協力を得て暗躍する組織のボスにたどり着く。

それはボンドに因縁のある人物だったが・・・

 

冒頭のメキシコ「死の祭り」は迫力があり悪くなかった。

 

あとはカーアクションはあるものの秘密兵器色は薄めで、

それほど特別な見どころはなかったかなぁという印象。

2時間半が長いと思う人も結構いるのではないだろうか。

 

ただ別に悪い作品でもないし、

過去作のキャラも随時登場しているため、

007ファンは十分楽しめるだろう。

 

Qは画面に出るのが楽しみなキャラになってきておりその点は良かった。

 

次回作は多分ボンド役も交代で、

本作ラストとも相まってどういう展開になるのか。

やや気になるところではあります。

 

 

ナイトクローラー

2014 米

 

金網泥棒などで日銭を稼ぐルー(ジェイク・ギレンホール)。

ある日遭遇した事故現場に群がるカメラを目撃する。

 

そう彼らは報道パパラッチ。

警察無線を傍受し誰よりも早く現場に到達。

 

衝撃的な絵を撮ってTVショーに売ることを生業にする連中だったのだ。

 

早速行動に移すルーは盗んだ自転車を売りカメラと傍受機を用意。

学はないものの人並み優れた向上心でぐいぐいのし上がっていくのだが・・・

 

現実のエグイ部分のヴェールをはぎ取りどうだとばかりに見せつけてくる作品。

 

どんなエグイ現場だろうと救助もしない、通報もしない。

そんなことより金になる刺激的な絵。不法侵入もスピード違反も意に介さない。

 

他の追随を許さない、非人間性という

ルーの最大の武器が発揮されるこの仕事はまさに天職なのだ。

 

ギラついたルーの目つきが恐ろしい。

 

そんな彼にいいように使われ捨てられる無知で貧しい若者、

彼の映像が欠かせなくなり、パワハラに逆らえない女性ディレクター。

 

どんな手を使ってでも刺激的なシーンを欲する下賤なTV局と

その期待にこたえ続けのし上がるルー。

 

ついには事件事故現場に駆け付けるだけでは飽き足らず、

派手な絵のため、自ら誘導して被害を拡大する。

 

最低なシーンと思いつつ見入ってしまうのはアクションの迫力か、

観客側の野次馬根性の発露か。

 

勧善懲悪のかけらもなくルーは全てを切り抜けのし上がり続けて映画は終わる。

 

アメリカほどではないかもしれないが、

事件・事故の度に被害者の葬儀会場の映像を流す

日本のマスコミの暗部(とそれを見る多くの視聴者)も

本質的にはかわらないのだろう。